「重力ピエロ」のあらすじと感想、おすすめの本も紹介【伊坂幸太郎】

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今回紹介するのは伊坂幸太郎さんの「重力ピエロ」です。

兄の泉水と弟の春が連続放火とその犯行予告とも思える謎のグラフィティアートの関係を追う物語。

その中で2人の家族の悲しい過去と家族の絆が描かれます。重いテーマでありながら、最後には大きな家族愛を感じられる1冊です。

そこで、今回は伊坂幸太郎さんの「重力ピエロ」のあらすじと感想をまとめ、さらにこの本が好きな人におすすめの本を紹介します!

こんな人におすすめ

  • ・伏線回収が好きな人
  • ・重厚なテーマが好きな人
  • ・家族愛を感じる小説が好きな人
目次

「重力ピエロ」について

タイトル重力ピエロ
著者伊坂幸太郎
ページ数485ページ
発売日2006/06/28
出版社新潮社

「重力ピエロ」は伊坂幸太郎さんの3作目で、第1回本屋大賞ノミネート、第129回直木賞候補作品になるなど、各方面から高く評価された作品です。

本屋大賞に至っては「重力ピエロ」が第1回にノミネートされてから第4回まで「チルドレン」や「死神の精度」など連続でノミネートされ、第5回本屋大賞において「ゴールデンスランバー」で大賞を受賞しました。

「重力ピエロ」のあらすじ

兄は泉水、二つ下の弟は春、優しい父、美しい母。家族には、過去に辛い出来事があった。その記憶を抱えて兄弟が大人になった頃、事件は始まる。連続放火と、火事を予見するような謎のグラフィティアートの出現。そしてそのグラフィティアートと遺伝子のルールの奇妙なリンク。謎解きに乗り出した兄が遂に直面する圧倒的な真実とは――。溢れくる未知の感動、小説の奇跡が今ここに。

新潮社より引用

「重力ピエロ」の感想

事件の真相などは伏せていますが、一部ストーリー展開などのネタバレを含みます。気になる方はご注意ください。

冒頭の一文がたまらなく好き!

「春が二階から落ちてきた」

重力ピエロp9より引用

「重力ピエロ」はこんな冒頭の一文から始まりますが、この文章美しすぎると思いませんか?

有名な冒頭文と言えば川端康成さんの「雪国」で「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」や夏目漱石の「吾輩は猫である」で「吾輩は猫である。名前はまだ無い」などが挙げられると思います。

これらも素晴らしい一文で物語にグッと引き込まれる文章には間違いありません。

しかし、個人的にはそんな名だたる文豪を差し置いて、伊坂幸太郎さんの「春が二階から落ちてきた」という一文に僕は胸を打たれました。

春が二階から落ちてくるってどういうことなんだろう?何て洒落た言い回しをするんだろうと、一文だけでこの先のページを読み進めて行きたいと思わされます。

伊坂幸太郎さんの小説は数多くあり、そのすべてを読んだわけではありませんが、「重力ピエロ」程、冒頭のたった一文で小説の世界に引きずり込まれる作品はないと思います。

また、「重力ピエロ」には他にも名言ともいえる言葉が多くあり、きっとあなたに刺さる名言が一つはあると思います。

余談ですが、僕はこの本を電車で読み始めたのですが、冒頭の一文で物語に夢中になりすぎた結果、気づけば最寄り駅の2駅先にまで行ってしまいました笑

連続放火とグラフィティアートの謎を追う

物語が始まる少し前から、仙台市で連続放火事件が発生していましたが、犯人の足取りはまったく掴めないままでした。

そんな時に泉水の元に弟の春から次の放火の標的が泉水の勤める会社かもしれないことを告げられます。

泉水も当初は本気にしていませんでしたが、その後、本当に会社のビルに火がつけられます。

放火の標的がなぜ分かったのか春に聞くと、放火の現場の近くにいつもグラフィティアートがあることに気づいたからでした。

それも春が落書きを消す仕事をしていることがきっかけで、現場にはそれぞれ「God」「can」「talk」「Ants」「goto」「America」「280」「century」という単語が残されていました。

そこで、2人はこの暗号が示す意味や連続放火事件の謎を追い、父親の協力も得ながら、予想もしない驚愕の真相が明らかになります。

ミステリー好きな人はこういう暗号めいたメッセージを見るとテンションが上がりますよね!

どのような意味を持つのか、いつも考えながら読んでしまいますが、解けた試しがありません笑

物語が進むにつれて謎が少しずつ明かされていき、放火の犯人は何となくわかったのですが、その後の展開はまったく予想できませんでした。

まさか、そこの話と繋がってくるのか!と驚かされ、さすが伊坂さんと感心するばかりです。

愛情あふれる家族の姿

兄弟である泉水と春は半分しか血が繋がっていません。父と泉水は血が繋がっていますが、春は泉水が1歳のときに母が男に襲われ、生まれた子供でした。

そんな悲しい過去があれば、多少なりとも家族に影を落としそうなものですが、この家族は違いました。

父も母も泉水も春もみんな家族を愛し、大事に想う姿が物語の随所に散りばめられています。

それは放火事件の謎を追う中で、泉水と春が思い出として話題にでることもあれば、過去の回想として描かれることもあります。

根底には重いテーマがあるはずですが、それをまったく感じさせないエピソードにじんわりと心が暖かくなり、ときにクスッと笑ってしまいました

また、父も母も前向きで強い人間であることが伝わってきますが、決して完璧ではなく、どこか人間臭さがあるところが魅力です。

終盤に父が春に向けてかける台詞があるのですが、その場面を読んだときは思わず涙を流してしまいました。

これほど春を救う言葉はないし、これほど春が求めていた言葉もないと僕は思います。

そしてそれは春だけではなく、泉水にもいえることでした。

父がいつも泉水と春のことをよく見ていたこと、そして深く愛していたことが伝わる一言で、この本で一番好きな登場人物はと聞かれれば、僕は迷うことなく2人の父親と答えます。

この感動を味わってほしいため、あえてそのセリフをここに書くことはしません。

是非皆さんの目で確かめてください。

「重力ピエロ」が好きな人におすすめの本

「ラッシュライフ」 伊坂幸太郎

泥棒やカウンセラーなど複数の視点で描かれる群像劇。

一見すると何の関係もない4つの話が描かれており、どう関係するのかまったく分からないですが、終盤にかけてすごい勢いで物語が繋がり、最後は1つの絵になっていきます。

点と点が線で繋がる瞬間がたまらない1冊です。

「キネマの神様」 原田マハ

「重力ピエロ」で登場した父とは対照的に、「キネマの神様」では家族に見放されるほど、映画とギャンブルが好きなダメ親父が登場します。

そんな父がひょんなことをきっかけに娘の力を借りて、ブログで映画の感想を投稿することから物語は大きく動きます。

人と人との繋がりや暖かさを感じられる小説でおすすめです。

まとめ

今回は伊坂幸太郎さんの「重力ピエロ」のあらすじと感想をまとめ、さらにこの本が好きな人におすすめの本を紹介しました!

「重力ピエロ」は連続放火とグラフィティアートの謎を追うミステリーでもあり、泉水と春の家族の物語でもある一粒で二度おいしい小説です。

冒頭文の素晴らしい一文もさることながら、数々の名言がありますので、何度読み返しても楽しめます。

そして、ぜひラストの感動を皆さんにも味わってほしいです。

この記事を読んで皆さんが「重力ピエロ」を手に取って頂くきっかけになれば幸いです。

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