「その可能性はすでに考えた」のあらすじと感想、おすすめの本も紹介!【井上真偽】

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今回紹介するのは井上真偽さんの「その可能性はすでに考えた」です。

この本は奇蹟の存在を証明する探偵の上苙承(うえおろじょう)が摩訶不思議な謎を調査する一風変わったミステリーです。

普通のミステリーでは味わえないこの本ならではのストーリー展開はミステリー好きな人も必ず満足できると思います。

そんな井上真偽さんの「その可能性はすでに考えた」のあらすじと感想をまとめました。また、この本が好きな人におすすめの本も紹介します!

こんな人におすすめ

  • ・普通のミステリーに飽きてしまった人
  • ・多重解決ミステリーが好きな人
  • ・ライトノベルが好きな人
目次

「その可能性はすでに考えた」の概要

タイトルその可能性はすでに考えた
著者井上真偽
ページ数391ページ
発売日2018/02/15
出版社講談社

井上真偽さんはメフィスト賞を「恋と禁忌の述語論理」で受賞し作家としてデビューしました。

「その可能性はすでに考えた」は井上さんにとっては2作目になります。

この小説で第16回本格ミステリ大賞候補、このミステリーがすごい2016年版、2016本格ミステリ・ベスト10などその他多くのミステリーランキングを席巻した話題作です。

また、この小説は恩田陸さんや麻耶雄嵩さんなど著名な作家にも高く評価されました。

その他、ドラマ化もされた「探偵が早すぎる」なども執筆されています。

「その可能性はすでに考えた」のあらすじ

山村で起きたカルト宗教団体の斬首集団自殺。唯一生き残った少女には、首を斬られた少年が自分を抱えて運ぶ不可解な記憶があった。首無し聖人伝説の如き事件の真相とは? 探偵・上苙丞(うえおろじょう)はその謎が奇蹟であることを証明しようとする。論理(ロジック)の面白さと奇蹟の存在を信じる斬新な探偵にミステリ界激賞の話題作。

講談社より引用

「その可能性はすでに考えた」の感想

事件の真相などは伏せていますが、一部ストーリー展開などの軽度のネタバレを含みます。気になる方はご注意ください。

奇蹟が起きた??

人里離れた山奥にカルト宗教の教祖と信者たちが住む集落がありました。

そこは三方を高い崖に囲まれ、集落に続く出入口は洞窟のみというまさに秘境ともいえる場所です。そんな集落に住むリゼという少女が母と一緒にここで暮らしていました。

しかし、突然大きな地震が発生し、水源である滝が枯れてしまいます。

不幸なことに教祖が過去に滝が枯れるのは世界が滅亡する予兆であると予言していました。このことがきっかけで、教祖は唯一の出入口の洞窟をダイナマイトで爆破し塞いでしまいます。

そして、キリスト教の聖者の死にならって、集落の教会で教祖が信者たちの首を切り落とす集団自殺を始めました。

ところがリゼは仲の良かった一人の少年の手により教会から脱出し、少年に抱えられながら逃げます。リゼは次第に意識を失い、次に目を覚ましたときには集落の奥の祠でした。

そしてそのすぐそばには、一緒に逃げたはずの少年の生首とその胴体がありました。

一体何が起きて、そのような状況になったのか気になりますよね。

集落全体がある種の大きな密室状態で、リゼと少年以外は教会内で集団自殺をしています。少年が教祖から逃げる際に教会の扉に外側から閂をかけていたため、教会から人が出ることもできません。

さらに、少年の首を落とした凶器は現場から遠く離れた場所にありました。彼女が気を失っている間に一体何があったのか不思議です。

さらに不可解なのが、リゼは少年に抱えられて逃げているときに、少年の首のようなものを抱えていた記憶が朧気ながらあるという点です。

それが事実であれば、本当に奇蹟が起きたとしか言いようがない事象です。

奇蹟を証明する探偵

探偵の上苙丞(うえおろ じょう)はとある理由で奇蹟の存在を証明したいというかなり変わり者の探偵です。

どちらかというと、探偵は事件において奇蹟や超能力などの非科学的なものを否定する立場にあり、超常的な現象を論理だてて謎を解き明かし、事件を解決に導いていくものですよね。

小説に登場する探偵といえば変わり者が多い印象ですが、丞はその中でも群を抜いているように思います。

では、丞の奇蹟を証明しようとしている方法は、人智の及ぶあらゆる可能性を全て否定できれば、それはもう人智を超えた現象といえるつまり奇蹟であるというものでした。

しかし、この方法の欠点はあらゆる可能性を否定しなければならないという点です。

それこそどんな突拍子もない可能性であったとしても、丞はそれを論理的に否定しなければ奇蹟を証明することができないという茨の道です。

本当にそんなことが可能なのかと僕自身半信半疑で読み進めていました。

また、丞の奇蹟の証明の仕方がシャーロックホームズの推理方法に似ているようにも感じました。シャーロックホームズでは以下のようなセリフが出てきます。

「すべての不可能を消去して、最後に残ったものが如何に奇妙なことであっても、それが真実となる」

どちらも可能性を列挙し、それを否定するという過程は同じはずが、導き出された結論は奇蹟と真実とまったく違うものになるのは興味深いなと思いました。

その可能性はすでに考えた

もう予想できる方もいると思いますが、「その可能性はすでに考えた」というタイトルは丞の決め台詞です。

この小説では探偵が地道に捜査を行い、少しずつ謎を暴き、真相にたどり着くというミステリーの王道的な展開はされません。

リゼの話を聞いた丞はあらゆる可能性を検討した結果、依頼を受けて早々にリゼと少年の事件で奇蹟が起きたと断定します。

しかし、奇蹟の存在など信じていない大多数の人間からすれば、丞の主張は到底受け入れられるものではありません。事件の捜査に携わった刑事を筆頭に様々な人物が登場し、丞の主張に異論を唱えます。

丞は刑事たちの様々な事件の推理を「その可能性はすでに考えた」というセリフとともにぶった切ります。

次々に事件における可能性が挙げられ、それを否定する流れは少し変わった多重解決ミステリーのようで、そこがこの小説の一番おもしろく、そして他の小説にない特徴だと思います。

バカミスとまでは言いませんが、とんでもない可能性をぶつけてくる人もおり、僕もそれはさすがに無理あるのでは?とクスッと笑ってしまうようなものもありました。

逆に、否定することがかなり困難な可能性を提示してくる人もいて、最後まで読んでいて飽きませんでした。

「その可能性はすでに考えた」が好きな人におすすめの本

「探偵が早すぎる」 井上真偽

「その可能性はすでに考えた」と同じく井上真偽さんの別作品です。

普通のミステリーであれば探偵は殺人事件などの事件が発生してから登場するのがお約束だと思います。

しかし、「探偵が早すぎる」ではタイトル通り事件が発生する前に探偵が登場し、被害者が出る前に事件を解決するというおもしろいミステリーで、一読の価値ありです。

「ミステリー・アリーナ」 深水黎一郎

作中で「ミステリー・アリーナ」というTV番組があり、嵐の山荘で起きた殺人事件のエピソードが読み上げられ、その事件の真相を一番早く解き明かした人が賞金を貰えます。

一つの事件に対して15通りの推理が披露され、多重解決ミステリーが好きな人にはおすすめの小説です。

終わりに

今回は井上真偽さんの「その可能性はすでに考えた」のあらすじと感想、この本が好きな人におすすめの本を紹介しました。

本屋でたまたま見かけて、何気なく手に取った一冊だったのですが、大当たりの小説でした。この小説で初めて井上真偽という作家を知り、すぐにファンになり、著作を全てAmazonで買ったのを覚えています。

今までになかったミステリーで、分類的には多重解決ミステリーと言えますが、それとも少し違う気がして最初から最後まで新鮮な気持ちで読むことができました。

ミステリーが好きな人にはおすすめの一冊です。

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