【浅倉秋成】「六人の嘘つきな大学生」のあらすじと感想をまとめました!

  • URLをコピーしました!

今回紹介するのは浅倉秋成さんの「六人の噓つきな大学生」です。

浅倉秋成さんは僕の好きな作家さんの1人で、「六人の噓つきな大学生」はその中でも一番好きな小説です。おもしろいと評判で、普段文庫しか買わない僕があまりの高評価に文庫化を待ちきれず、買ってしまう程でした。

就職活動をテーマにした小説で、終盤に真相が二転三転する展開は非常におもしろかったです。

そんな浅倉秋成さんの「六人の噓つきな大学生」のあらすじと感想をまとめました。また、この本が好きな人におすすめの本も紹介します!

こんな人におすすめ

  • ミステリーが好きな人
  • 心理戦が好きな人
  • 伏線回収が好きな人
目次

本の概要

タイトル六人の嘘つきな大学生
著者浅倉秋成
ページ数304ページ
発行日2021/03/02
出版社KADOKAWA

この本は2022年本屋大賞ノミネートされ、その他にも「このミステリーがすごい!」や「本格ミステリベスト10」などミステリー各種ランキングで高く評価されている作品です。

著者の浅倉秋成さんは他にも「教室がひとりになるまで」や「俺ではない炎上」などを執筆され、その巧みな伏線回収から「伏線の狙撃手」との異名を持っています。

「六人の噓つきな大学生」のあらすじ

成長著しいIT企業「スピラリンクス」が初めて行う新卒採用。最終選考に残った六人の就活生に与えられた課題は、一カ月後までにチームを作り上げ、ディスカッションをするというものだった。

全員で内定を得るため、波多野祥吾は五人の学生と交流を深めていくが、本番直前に課題の変更が通達される。それは、「六人の中から一人の内定者を決める」こと。

仲間だったはずの六人は、ひとつの席を奪い合うライバルになった。

内定を賭けた議論が進む中、六通の封筒が発見される。個人名が書かれた封筒を空けると「●●は人殺し」だという告発文が入っていた。

彼ら六人の嘘と罪とは。そして「犯人」の目的とは――。

KADOKAWAより引用

「六人の噓つきな大学生」の感想

事件の真相などは伏せていますが、ストーリー展開などのネタバレを含みます。気になる方はご注意ください。

最高のチームを作り上げたはずだった…

最終選考で人事部から6人に伝えられた「スピラリンクス」が求める人材は互いの短所を補い、長所を活かし、協力して課題を解決できる人材でした。

そのため、ディスカッションは就活生が探り探り、お互いの顔色を伺いながら進行するありきたりなものではありません。一カ月という準備期間を経て、課題を解決できる一つのチームを作り上げた上で議論をするという今までにない形式でした。

さらに、ディスカッションが素晴らしいものであれば、6人全員の採用もあるという魅力的な試験でもあります。

6人は始めこそギクシャクとした関係ですが、何度もミーティングを重ねるうちに、リーダーシップを発揮する人、ムードメーカー、データ分析が得意な人など6人がそれぞれ自分の強みを活かしてチームに貢献します。

そして、最終試験に向け最高のチームを作り上げ、試験前の飲み会では「スピラリンクス」に対する熱い思いを語り合いました。

飲み会が終わり、それぞれ帰路に着く途中で、一通のメールが届きます。

その内容は今回の採用人数は1人になり、それに付随して議題は「6人の中で誰が1番スピラリンクスに就職するのに相応しいか」というものでした。

ついさっきまで「全員一緒に内定を貰おう」と熱く思いを語り合った最高のチーム、仲間たちが一瞬にしてライバルに変わってしまいました。

正直、人事部のやることが惨すぎませんか?というのが初めて読んだ時の僕の率直な感想です。

全員性格がよく協調性もある人たちで、そんな6人が必死に努力し、助け合い1つのチームを作り上げていく過程は、青春モノや少年マンガを読んでいるような気持ちにさせてくれます。

いきなりこの事実を通知された6人の心情を思うとやるせない気持ちで一杯になると同時に、ここまでタイトルにある「噓つきな大学生」という要素が一切でていないのが気になる点でもあります。

「六人の噓つきな大学生」というタイトルから、誰かが嘘をついているのではなく、全員が嘘をついていることは間違いないと考えながら、この先ストーリーはどのように展開するのか、最終選考が始まるとどうなるのかページをめくる手を止められませんでした。

最終選考が始まるも不穏な影

最終選考が始まり、6人は30分ごとに就職するのに相応しい人に投票することに決めました。そして、1度目の投票が終わった時に、扉の前に6通の封筒があることに気づきます。

その封筒にはそれぞれの名前が書かれており、1人がその封筒を開けると、6人のうちの1人が学生時代に後輩をいじめて、自殺に追いやったという告発文とその証拠が添付されていました。

そこからは試験どころではありません。当然このような告発をされた人間に投票されるはずがありませんでした。自分の不利を悟った人は自分の封筒を開け、誰かの罪を告発する、次に告発された人間がまた誰かの罪を…という負の連鎖が始まります。

その後、汚い手を使ってまで、内定を勝ち取りたいという犯人にだけは投票したくないという意見が一致し、6人は告発文を準備した犯人を探し始めます。

前半に描かれた6人の様子とはかけ離れた人物像の描写に驚かされるばかりでした。始めに決めた投票システムも悪い方向に作用し、就職試験のはずが一種のデスゲームのような殺伐とした雰囲気を帯び、ハラハラとさせられます。

人の本質は表面からは見抜くことができないということを突きつけられました。それと同時に、自分の醜く悪い点は隠し、良い点のみを前面にアピールする就職活動という舞台を皮肉っているようにも思えました。

また、会議室の中だけで限られた手がかりから犯人を導き出す推理は読んでいて非常におもしろく、封筒と告発文とその証拠のみで、ジリジリとうまく容疑者を絞っていく様子は手に汗握る場面は個人的にはお気に入りの場面です。

明かされる衝撃の事実と鮮やかな伏線回収

犯人は判明し、内定者も本来の「誰が一番相応しいか」から「誰が一番マシか」という消極的なものではありますが決めることができました。

このまま物語はエピローグとなりそうなところですが、この本の一番の魅力はここからです。ここまで紹介した内容は「六人の噓つきな大学生」の半分でしかありません。もう半分にはこの就職試験の後の6人の姿が描かれています。

「スピラリンクス」がなぜこのような採用試験を行うに至ったのか、告発された6人の罪と真相など、前半では明かされなかった事実が次々と明らかになります。

そして、張り巡らされた伏線の数々が怒涛の勢いで回収され、今までの物語と意味が大きく変わっていくさまはさすが「伏線の狙撃手」の異名をもつ浅倉秋成さんと言わざるを得ません。

「六人の嘘つきな大学生」が好きな人におすすめの本

「教室がひとりになるまで」 浅倉秋成

とある高校の仲が良いクラスで起きた連続殺人ならぬ連続自殺。

他人を自殺させる能力というチート染みた能力をもった人間を相手に、主人公が謎解きに挑む特殊設定ミステリーです。

浅倉秋成さんらしい見事な伏線回収と「六人の噓つきな大学生」と同様、この本も犯人が分かってからがむしろ本番と言っても良いほど、終盤にかけておもしろい展開が待っています!

「何者」 朝井リョウ

「六人の噓つきな大学生」と同じく就職活動がテーマで、就活を控えた5人がその対策として集まるようになることから物語は始まります。

人があまり表に出したくない承認欲求や嫉妬心などの感情がわかりやすく描かれ、ラストは自分自身にグサッと刺さるものでした。

直木賞も受賞した名作なので、ぜひ手に取ってみてください。

おわりに

今回は浅倉秋成さんの「六人の噓つきな大学生」のあらすじと感想をまとめました。また、この本が好きな人におすすめの本も紹介しました。

伏線回収モノが大好きな僕には大好物の作品で、特にラストの展開にはただ驚かされるばかりでした。重く苦しい場面もありますが、最後は爽やかな読後感で本を閉じることができるおすすめの1冊です。

浅倉秋成さんの小説の中では一番好きな作品でもありますので、この記事を読んで皆さんが「六人の噓つきな大学生」を手に取って頂くきっかけになれれば幸いです。

追記

2023/06/13に文庫化されることになりました!

文庫派の方も是非ご一読下さい

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次